さやかが連れて来たのは、大きなショッピングモールの一角のお店。

かわいい系からクール系の幅広い洋服が並んでいる。

「こーゆーとこ久振りだ…。」

「でしょー?んじゃ、私は奥見てくるから。」

「ちょっ…。」

私が止めるのも聞かず、さやかは足早に店の奥へと歩き出してしまった。

「勝手な奴め…。」

「仕方ない。俺は適当にどっか座ってるから、見とけよ。」

「あ…。うん…。」

「どーかした??」

「なっ、なんでもない!」

「?」

なんだろ…。今、ものすごく胸がざわついた。

キュッて苦しかった…。

何これ?

癌の症状の一種??

けど、こんなの初めて…。

そんなことも気づかずに、弘樹はあっと言う間に向こうへ行ってしまった。

「どいつもこいつも、勝手なんだから…。」

ため息をついて、店内を物色しようとした時だった。

「ねぇ。君、1人??」