「なんでって…知りたいから。」

「は?」

「愛のことが知りたいから。」

そう言ってはにかむ弘樹。

無駄に顔が整ってるだけに、少しだけ心臓が暴れた。

「私のことが知りたい?」

それは、どーせカウンセラーとしてだろーが。

私のことなんて、仕事の一部なんじゃないの?

可愛くない私は当然のごとくひねくれた答えを出す。

「俺は、愛の全部が知りたい。」

もう一度、射抜くように、私の瞳をじっと見つめてそう言った弘樹。

いつもと違う、真剣な表情に嘘じゃないことを確信する。

何回も、嘘をつく大人たちを見て来たからわかるんだ。

なんとなくだけど、嘘をついてる人とそうでない人の顔の差。

弘樹は、嘘をついてない顔をしてた。