誰もいない静かな部屋。

窓も閉めて、灯りも消す。フードを深くかぶって家を飛び出した。


やっぱ誰もいないよね…。

ていうか、こんな時間に外歩いてるなんて可笑しいよね。


なんて思いながらもただ歩く。

ヒューヒューと冷たい風が当たって寒い。

白い息を吐き出しながら歩き続けていると、さっきまでの静けさが嘘のように
騒がしい繁華街のようなところについた。


よかった…。


ふと安堵のため息をついたとき。

後ろから誰かにグイッと腕を引かれた。慌てて振り返ると
そこにいたのは漆黒の瞳に漆黒の髪の人だった。



「あの…」

「ガキがこんなとこで何してる」

「…え?」

その人の口から出たのは厳しい言葉。

その怖い口調と雰囲気にたじろいだとき。



「おーい、そこの女の子俺らに頂戴よ~」

ぬめりとした声が後ろから聞こえた。


「…うるせえ。失せろ」

その声に答えたのはこの黒髪の人。どちらも恐ろしいほどの顔つき。