「悪い。 いまは付き合うとか考えられねーんだ」
「わかった……聞いてくれてありがとう」
最近になって、こうして女子に呼び出されることが増えた。
"好きです"とか"付き合ってください"とか……告白を受けてはいるけど、すべて断っている。
「忘れられるわけねーよ……」
もう5月も最終週を迎えて、俺がみさちゃんと話したのは1ヶ月近くも前になる。
色のない毎日。 退屈な授業。
ひとりになるとすぐ、みさちゃんのことを考えてしまう。
「……秋! まだ屋上にいたのか」
風がひゅうっと吹いて、ドアが開く気配を感じた途端、聞き慣れた声。