「……行くよ」
「さ、佐久間くん!? 行くよってどこにっ……」
「いいから」
ごめん。
いまの俺に余裕なんてない。
みさちゃんに関することだけは、気持ちが抑えられなくなるんだ。
「わ、わたし……まだ多野先生に用事が、あったのに……っ」
「……なに? 用事って。 数学聞きにいっただけでしょ?」
「そ、そうだけど……」
階段下は相変わらずうす暗くて、俺たちの声しか響かない。
みさちゃんは唇を結んで、うつむく。
その口から多野にお菓子渡したかったとか聞きたくねぇ。
……嫉妬で、手が出てしまいそうになる。



