「多野せんせーのこと、どう思う〜?」



化学室にて。


実験について話す先生なんて気にすることなく、拓巳が口を開いた。


こんなくだらねー質問、もちろん俺に向けてなんかじゃない。



「多野先生〜? 普通にいい先生じゃない?」


「うん、かっこいいしね〜」



向かい側に座る女子ふたりがそう答えて、拓巳は満足そうに笑う。



なにその笑み。

腹立つわー。


そんな拓巳をシカトして、ちゃんと黒板の方へ体を向ける。


俺はまじめだからな。

チャラくねーし。




「だってよ、秋。 多野せんせーは秋より人気で、かっこいいってさ〜」