「みさちゃん? どしたの?」 身長差があるおかげで、抱きしめたままでもみさちゃんの顔を覗き込める。 すると、ようやく。 「うわあっ佐久間くん!? ちょ、離れて!」 みさちゃんは自分の置かれてる状況に気づいたようで、俺の腕の中で暴れる。 さっきと同じで、そんな抵抗なんてかわいいもんだけど。 離す気もねぇけど。 そんなことよりも。 みさちゃんはさっき、一点だけを見つめてだれかに見とれてた。 こんなに反応が遅れるほど、みさちゃんが見てたやつって……。