その日の夜。
「安住馨さん、依頼完了しましたよ!」
馨君はベッドの上で体育座りをしている。
家族は現在不在らしい。
「あ、あのっ…対価って…何を、渡せば、いいん、ですか?」
めっちゃどもってるよ。
「うーん、取りあえずっ」
机の上に置いてあるハサミを取り、振り上げた。
「えいっ!」
ザクッ
前髪長くて顔が見えないからねー。
……ん?
「よく見るとイケメンだね。 そうだっ!」
馨君の長い髪を切っちゃおう!
「♪♪」
ザクザクッ
「……」
馨君は固まっている。
「私がヘアーチェンジしてあげる。 "対価"とは別だからね」
「……は、はぁ」
ザクザクッ