電車に乗ってから学校に着くまで、約一時間。

 電車で朝日が遮断される。乗り込むと同時に窓から再び朝日の光が見える。

 高校一年生、2日目。

 朝から人ごみに紛れるのはあまりいい気持ちともいえない。席に座れたのも、たまたま運がよかったからだろう。

 昨日終点で降りたのが僕しかいなかったのは、あの時間帯だったからであって、いつもならばこんな田舎の駅でもそこそこに人が込む。朝の電車は初めてだ。

 暇な時間を読書でつぶすため、僕はカバンから本を取り出した。







 視界に、見慣れた制服が朝日に照らされてちらついた。

 何駅めだろうか。本を読んでいて気づかなかったが、どうやら同じ学校に通う生徒がいたようだ。

 新しくドヤドヤと入ってきた人ごみに呑まれそうになりながらも、乗り込み口の隣をキープしている。向かいのシートに座る僕から見て11時の方向。

 昨日の入学式で散々見たチェックのスカートはやはりうちの学校のもの。そこそこ暖かいのにニット帽をかぶり、そこから流れる長い髪が印象的な少女だった。


 昨日の下校の電車ではいなかったのに。昨日は両親と車で帰ったのだろうか。


―学校前でいっしょに降りるときに声をかけてみようか。



 自然、僕の心は溢れる感情をゆらすように踊っていた。



―新しい出会いは、いつだってわくわくする。