私は目を覚ました。


「何…夢…?」


 辺りを見回した。いつもと変わらない景色が広がっていた。


 それなのに、頭はどこか遠い旅に出かけていたかのようにぼうっとしている。


 変に心配性な私は、ここがどこなのか、私は誰なのか、なんてことを口にしてしまった。


「ここは私の部屋で、私は愛崎カナメ…大丈夫、忘れてない…」


 ふらふらした。

 やっぱりあれは夢だったのかな?


 でも…七瀬さん――カナタさん――が言ってたことが気になる。


 魂だっけ、記憶だっけ。よくわからないことを言ってた気がする。


 なんなのかな…?


 心配なことはたくさんあった。霜月さんのことはもちろん、あと、あ…。


「カナタさん、大丈夫かな…」


 夢の中で行った世界が、崩壊していた。

 私は大丈夫だけど…カナタさんは大丈夫だったのかな。あと、弟さんの、昴くんも…。


「私のせいだよね…」


 あんなことが起こるなんて予測してなかったけど、黙っていれば何も起こらなかったんだ。


 後悔の波が体内に押し寄せる。でも、もうしょうがない。


 そもそも夢の中なのに。ただ単に夢の中にカナタさんたちが出てきただけだと思えばいい。


 だけ…なのかな…。



 私は首を横にブンブン振り、悪い考えを振り払った。


 大丈夫、気にしなくていい。


 今日は土曜日。のびをして、私は布団から出た。