タイムスペース

「!」


 意識が戻り、真っ先に体を起こす。

 現実。僕は今日も、いつものようにベッドの上にいた。


「……」


 僕の魂は、タイムスペースからこちらに戻ってきたようだ。


 何も変わっていない。現実の世界は。



 タイムスペースはどうなったのだろう。


 あの様子だと、タイムスペース自体が消えてしまったのでは…?

 ! それはマズい。というか、あってはならないことだったはず。



 僕のせいか。

 ごめん。



 僕の魂がこっちに戻ってきたのは、タイムスペースで僕らが死ぬことを危惧するためだったのかもしれない。

 僕らはまだ生きている魂。死ぬわけにはいかない、と?


 だったらすでに死んでいる昴やハルカはどうなった? 消えた?


「…!」


 いてもたってもいられない。
 彼らの安否を確かめねば。
 といってもハルカだけはまったく安否がわからなかった。

 本当にあの世界にいたのかな。


 起こしていた上半身を布団にダイブさせ、仰向けになった。

 花柄はもう見飽きた。


 今日は土曜日。予定は皆無。
 今からまた寝てみようかとも思ったが、なんとなく今寝てもタイムスペースには行けないと思った。

 なんとなく。直感だが。



「………」



 そうだ。カナメは?


 カナメは大丈夫だったのか。
 僕と同じで、こちらの世界には戻ってきたのだとは思うが…。

 あれは精神的に辛かった気もする。


 考えれば考えるほど心配になってきた。


 僕はベッドから飛び降りた。

 なんとなく、今自分がすべきことをしなければならない気がした。


 カナメのところに行く。



 そう決心した。