タイムスペース

 ものすごい轟音とともに地面は揺れ、あたりにただよう光が次々と消えていく。

同時に、何かガラスのようなものが割れる音もした。



「マズイ…まだ直ってなかった…」


 霜月さんはうめくようにつぶやき、「一緒に来て!」と僕の手を取った。


「わ、」


 そして地面を蹴る。僕らはふわりと宙に浮く。


 ここは重力が軽いようだ。
 昴もふわふわと浮遊しながらあとをついてきた。


 移動(?)しながら、霜月さんは僕に説明し出した。


「ここはね、生きている生命には縁のない場所。生きているうちは来ることのない、時のない空間。
 ここは『タイムスペース』と呼ばれる空間なの」


 霜月さんの視線は強い。

 その告白がどういうことかもわかった。

 生きている生物は来るハズがない、のに僕が来ているのも、何か特異なことなのだろう。


「魂はね、みんなこんなふうに死んだ生物の肉体から抜けて光みたいになって、ここへ来るの。でもまれに、光じゃなくて魂がそのまま実体化する者もいるの」


 それが昴や霜月さんなのかと納得した。
 どういう設定なのだろう。



「あとたまに、生きたままの魂がここに来ることもあるの。カナタもね。あと私も。私も死ぬ前から、ここに来ることができた」


 そうだったのか。

 謎がいくつも解けた。
 でも、知らないことも増えた。


 僕がここに来るのは、運命だったのだろう。
 僕の脳が驚いていないのも、それを予想理解していたからだろうか。


「…カナタ、聞いて」


 霜月さんは真剣な表情で僕に向き合う。繋いだ手が汗ばんでいた。


「このことは誰にもないしょ。あとね、私が生きているときに、いろいろみっともないとこ見せたけど、全部この世界のためだったの」


 うなずいていいのかどうかわからず、僕はあいまいに首を動かした。


「今大きな地響きとか揺れとかがしたのは、タイムスペースがピンチだって証拠。新しい生命が生まれなくなるの」