タイムスペース

「…あと、見つけたかもしれない。あなたのお兄ちゃん…」


 七瀬。


 名前を聞いて確認した。


 まさか兄だったとは…。



 「…うん。どうする? 連れてくればいいの? 会いたいんだよね? 七瀬くんに。…わかった。うん。うん。ごめん、手がかりはまた今度ね。なるべく急ぐ。それじゃ」







 ふう、と私は息をついた。


 今の話が誰にも聞かれてなかったことを確かめる。


 慎重に教材室のドアを開けた。


 廊下に出て、何もなかったかのようにそっとドアを閉じる。
 ついさっきケータイで談話してました風を装って教室に入った。