でも、ノートに何も書かれていないとしたら、それはそれで困る。
あれはメモとして書くはずだったのに…。
ノートを取り返すことに必死だったから、何を書くのだったかまったく覚えてない。
机の中の、数学以外のノートやプリントも隅々まで見てみたが、やはり目的のものは書かれていなかった。
すごく大事なことだったはずなのに。
やっとここまで手がかりがつかめたのに。
また振り出しに戻ったというわけだ。
すごろくで「ゴール直前で『スタートにもどる』マスに止まってしまったとき」の気持ちだ。まさに振り出しだ。
…なんだったっけ。私は何を書こうとしたんだろう。
どんなことだっただろう。「アレ」を探すための、大切な手がかりだったのに…。
考えても私の脳では思い出せないことがわかり、しかたなく私はニット帽を深くかぶった。
誰にも気づかれないようにそっと教室を出る。
昼休みでにぎわう教室はいつものテンションをキープする。ざわめく生徒の声が音楽のように聞こえてくる。
教室の隣にある教材室に入り、素早くドアを閉じた。
薄暗い教材室の中は、ダンボールなどが置かれており、ほこりっぽい。
私はニット帽をヘッドフォンのように構えた。
「ねえ昴、聞こえる? 私。ハルカ。ごめん、手がかり、忘れちゃった。また一からやり直しだね」
あれはメモとして書くはずだったのに…。
ノートを取り返すことに必死だったから、何を書くのだったかまったく覚えてない。
机の中の、数学以外のノートやプリントも隅々まで見てみたが、やはり目的のものは書かれていなかった。
すごく大事なことだったはずなのに。
やっとここまで手がかりがつかめたのに。
また振り出しに戻ったというわけだ。
すごろくで「ゴール直前で『スタートにもどる』マスに止まってしまったとき」の気持ちだ。まさに振り出しだ。
…なんだったっけ。私は何を書こうとしたんだろう。
どんなことだっただろう。「アレ」を探すための、大切な手がかりだったのに…。
考えても私の脳では思い出せないことがわかり、しかたなく私はニット帽を深くかぶった。
誰にも気づかれないようにそっと教室を出る。
昼休みでにぎわう教室はいつものテンションをキープする。ざわめく生徒の声が音楽のように聞こえてくる。
教室の隣にある教材室に入り、素早くドアを閉じた。
薄暗い教材室の中は、ダンボールなどが置かれており、ほこりっぽい。
私はニット帽をヘッドフォンのように構えた。
「ねえ昴、聞こえる? 私。ハルカ。ごめん、手がかり、忘れちゃった。また一からやり直しだね」
