トントントン────


ボールをつく音が体育館に響き渡る。



オレンジ色のボールが手に吸い付くようなこの感じ、何とも好きだ。


ディフェンスを抜けてレイアップシュート。


シュッと爽快な音を立てボールはリングに吸い込まれていった。



ううん、まだ全然ダメだ。




「もう一回お願いします!」



宮村にボールを渡しまた1対1スタート。


部活時間なんてとっくに終わって日が暮れようとしている。



それなのに宮村は何も言わず自主練に付き合ってくれていた。



「ごめん、もう一回!」


何度やっても納得のいかないオフェンス。

だけど宮村はあたしからボールを取り上げた。


「最終下校過ぎてっぞ。これ越えたら顧問うるせぇんだけど。……つーか、笹原お前病み上がりだろ。ちょっとは休憩しろ」



そう言った宮村はあたしにペットボトルを軽く投げ渡してきた。