大っ嫌いなアイツに恋をした。




そう、また睨みつけると
橘くんは涼しそうな顔で言葉を続けた。


「男より強い女はちょっと……か〜。まあ、そりゃそーだわな」


うん、うん、となぜか納得したように頷く動作をする。


何なのこの人。

喧嘩売ってんの!?



「さっきから何ですか!?バカにしてるんですか!??」


振られた悲しみからか、無性にイライラする。


すると、そんなあたしを見た橘くんはふふっと笑って貯水タンクから飛び降り…


綺麗に着地した橘くんはあたしに迫ってきた。


「な、な…なに……」


後ずさりするけれど、ドンっと背中が壁に当たり、もう逃げ場がないことを察する。


橘くんはそんなあたしお構いないしどんどんと近づいてきて顔を寄せた。



「あんたってさ……男いたことないでしょ?」



「……っ!」



ドキっとしたのはその言葉だけでなく

端正な顔立ちの橘くんがすぐ目の前にいるからだった。