大っ嫌いなアイツに恋をした。




そして、先輩はもう一度ごめんと言い残すとあたしから姿を消した。


わかってた。

あたしなんて恋愛対象にならないことぐらい。


わかってたけど……


じんわりと涙で視界が揺れる。


その場にくるまって涙を流していると、何やらこの静かな場所に場違いな声が響いた。



「ブッ、振られたの?」



その声は上から聞こえてくる。

ハッとして上を見上げると、貯水タンクの上からニヤッとこちらを見てくる一人の男子と目が合った。


その顔には見覚えがある。


確か……1年のとき同じクラスだった橘くん。
そういや、今年も同じクラスだっけ。


橘くんはいつもみんなの中心にいて人気者で明るくてカッコ良くて周りにはいつも女子がいるって感じで、特に関わりもなく喋ったことがあまりない。


あの“事件”以外は。

でも、きっとキミはもう覚えていない。



あたしは涙を拭って橘くんを睨みつける。


「な、何ですか…盗み見!?しゅ、趣味悪すぎ!!」