大っ嫌いなアイツに恋をした。




「ほら、それ。男みてぇなこと言ってっから大好きな先輩にフられんだよ。バーカ」


……なっ!!



「コラ、橘。それは禁句でしょ〜?まだ美優引きずってるから」



隣の愛美が頬杖をつきながらそう言う。



「う、うるさいっ!!もうそんなこと忘れた。ひ、引きずってなんかないもん!!」


そう、言ってみせたけど……


ほ、本当は……かなり引きずっている。





それは先週のことだった。


始業式が終わってあたしは体育館裏にずっと片想いしていた一つ上の先輩を呼び出していた。



「……ずっと好きでした。つ、付き合ってくださいっ」



女バスに所属しているあたしは隣のコートで男バスが練習をしている先輩、永見先輩に恋をした。


いつも優しくてカッコいい先輩に気づけば夢中になっている自分がいて……



でも、返ってきた言葉は……



「ごめん。笹原のこと女としてみたことなかった。……それに男より強い女ってちょっと……」



俯きがちにそう言った先輩を見て、鼻の奥がツーンと痛くなった。