駐車場で一人しゃがみこんでいると、後ろから影が近付きあたしの背後で止まった。
「………こんなところで、何やってんすか」
その声に振り返ると、ダウンジャケットを手に持った陸がいた。
どうして……何て口を開く前に陸がため息を吐く。
「さっき、すごいスピードで宿舎から出て行くの見えました。早く帰りますよ」
陸は手を差し出すがあたしはその手を取らない。
「………まだ、帰れない。……橘からもらったキーホルダー無くしちゃったの」
思わず呟くと、陸は差し出した手をしまった。
「今何時かわかってますか?こんなところに一人でいて何かあったらどうするんすか…」
「………わかってる。でも…もうちょっとだけ……」
こんなことして見つかるなんてわからないけど、探さないで後悔するよりずっといい。
「……そんなに、大事なものですか?そこまでして……」
「大事なものだよ。」
ただのキーホルダーだけど、橘の想いがちゃんと詰まってる。

