慌てて部屋を出ると、廊下でお父さんとすれ違う。
「美優?こんな時間にどこに行く?」
「ちょっと…探し物っ!」
お父さんの引き止めをも素通りしてあたしは宿舎の外に出る。
辺りは山ばかりで電灯は全くなく都会の夜より断然に暗い。
やっぱり寒い…上着着てこればよかったかも。
早く見つけて早く帰ろう…
あたしは足早に駐車場を目指した。
駐車場に着くと、車が数台止まっているだけで閑散としていた。
クマのキーホルダー、クマのキーホルダー…
草むらや川の近くを見たがキーホルダーらしきものは何も見つからない。
『……お前にソレやるよ』
初めて橘がくれた大事なもの。
どうしよ……無くしたなんて絶対に言えない。

