"恋愛感情"なんてものはなかった。
"好き"というより、そばで見守ってやりたい
そんな気持ちの方が大きかった。
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これはまだ、笹原美優とアイツ、悠月が付き合う前の話。
「宮村お願い!今日も自主練付き合って?」
顔の前に両手を合わせ、上目がちに俺を見る真っ直ぐな瞳。
"笹原美優"はバスケの練習熱心で、たまに俺を自主練に誘ってくる。
そんな笹原と初めて話したのは1年の夏。
夏季大会の会場が女バスと同じで、ギャラリーがいつもより多かったことを覚えている。
入り口の隅で体育座りをして俯く女子がいて、
いつもの自分なら無視して通り過ぎていたのに…
なぜか、気になった。
「……泣いてんの」
もっと、他に声のかけ方があったはずなのに
出てきた言葉は素っ気なかった。
顔を上げたのは同じクラスの笹原美優。
笹原美優は女子からも男子からも一目置かれている存在で。
だから真っ赤な目をしている笹原を見て、心底驚いた。

