昔からあたしは色恋沙汰には疎かった。


その辺にいる男子たちはどう見てもただの友達。
それ以上の感情なんてなかった。



『美優ちゃんってさ〜男子よりカッコいいから彼氏とかいらなそ〜』


『その辺の男より強いもんねー。男の出る幕よ〜』


『何でも一人で出来るし、守ってあげたいって思わないよね〜逆に守ってほしい、的な〜』




周りの女の子たちの言う通り
彼氏なんていらない、いてもいなくても一緒だ。
別に、守ってほしいなんて思ったことない。

早くに両親が離婚し、母親という面影が全くないあたしはどこか他の女の子たちと考えが違っていた。


『一人でも強く生きれるようになれ』


この言葉はお父さんがまだ小学生のあたしに言った言葉だ。


小さいながらあたしはこの言葉を胸に、ずっと今まで生きてきた。



ヘラヘラして、男に媚び売るような女にはなりたくない。

ましてや、男に縋って生きていくなんてまっぴらごめんだ。



そばに支えてくれる存在がいなきゃ生きていけない、なんてそんな風にはあたしはならない────。



一人でも、大丈夫。



そう、ずっと思ってた。



大っ嫌いなアイツに
恋というものをするまでは────。