でも、アイツは…



『悠月…お願い。あたしと一緒にいてよ…』




「アイツを見捨てたら…壊れそうで、何しでかすかわからない。だから…」



「だから、キスを受け入れたってか?それで笹原を傷つけてもいいってのかよ」



和樹の瞳は揺るがなくて、強い。


やっぱり、間違ってたのかもな。

笹原と一緒にいた方がいいのは俺じゃなくて…




「和樹、笹原のこと頼んだ…」



和樹の顔を見て言えなかった。

唇を噛み、俯くと和樹はハハッと笑い出した。




「ハッ、悠月が笹原を想う気持ちは所詮その程度かよ」



和樹はあざ笑うかのように俺を見据える。



「笹原がこの二日、どれだけお前を心配してたと思う?それ、笹原が悠月に…ってよ」



和樹は雨で濡れたコンビニの袋を拾い上げると俺に渡した。