「アイツが…笹原がどんな気持ちで悠月とあの子を見てたと思ってんだ!?」



今にも泣きそうな顔で…

思い出すだけで、胸が痛くなる。



「くるみが昨日家に来た。あたしだけが好きだったんじゃないのかって、家の前で泣いたんだ…」



昨日、学校に行く前に家にやってきたくるみは俺の前で泣き崩れた。



『何で?どうして……?あたしだけが好きだったんじゃないの?あたしの為ならなんだってしてくれたじゃない!どうして…どうしてあの子なの!?』



『前みたいに、あたしだけ見てよ?あたしがいなきゃ何も出来ないでしょ?悠月……っ、あたしのこと忘れないでよ…っ』




くるみは中学のときから、どこか情緒不安定で。
俺が守ってやらないといけない
なんて、ガキながらそんな使命感に囚われていた。


だから、永見センパイに弄ばれたと知ったときは腹立たしいなんて思いじゃおさまらなかった。

そのあと引っ越してしまったくるみのことが心配だった。


今更何の用だ、なんてワザと突き放すようなこと言ったのはくるみとの関係を笹原に勘違いしてほしくなかったから。
そして、くるみには俺がいなくても平気だって思ってほしかったからだ。