【悠月side】




雨が降り続く中、俺はその場から動くことが出来なかった。

通行人は俺を一瞥して過ぎていく。



「悠月……お前、どういうつもりなわけ?」



和樹の口元は血が止まったものの痛々しい。

俺は何やってんだ。


頭に血が上って、和樹を殴ったりして…



『橘のそういうとこ大っ嫌いっ!』



まじで……何やってんだ俺は。




「あの女子、天道くるみだろ。本当にあの子が好きなのかよ」



和樹は俺に詰め寄る。



「返答次第じゃ、本気で笹原を奪う」



真剣な目をして言う和樹に正直、勝てないと思ってしまった。



「………俺が誰よりも本気で好きなのは、笹原に決まってんだろ…」



「……なら、何であんなこと言った!?」




和樹は俺の胸ぐらを掴んで眉間に皺を寄せる。