それからは二人とも喋らず作業を続けた。
何だかこの感じ知ってる。
ずっと前も、橘と二人になったことがあった。
そのときの橘はこんなにイジワルじゃなかったのにな。
だからあたしもあのときは……
「お前さ、後悔してんだろ。」
そのとき、前から橘の声が聞こえた。
「…え?何のこと」
「はぁ?お前、俺に呆気なく負けたじゃねぇかよ。余裕ぶっこいてたわりに」
……ああ、そうだった。
ついさっきまでそのことを悔やんでいたのにすっかり忘れていた。
忘れてたのに何でまた掘り返すのよっ!
「あれは、その……と、とにかく次勝負したらあたしが絶対勝つに決まってる!」
今日はみんなの前でいきなりだったし
ちゃんと勝負したら絶対あたしが…!
「お前、男ナメすぎ。そのうち痛い目あっても知らねぇよ。」
なんて、どこか真剣な顔をして
でも、最後にはフッと橘は笑った。
いったい何なの。
何が言いたいわけよ。
橘の瞳を見つめても、何も読み取れなかった。

