「へっ!?ちょっ…」
いきなり肩と肩が触れ合う。
焦るあたしなんてお構いなしに、橘は指の長い綺麗な手を鍵盤にそっとのせた。
そして、その指は滑らかに鍵盤を弾く。
た……橘さんよ
君、ピアノ弾けるの!?
あたしがチャレンジしたねこふんじゃった、みたいな初級レベルのものじゃない。
ベートベンだか、ショパンだか何だかわからないが橘が奏でるこの曲はどこかで聞いたことがあって初心者が急に弾けるほど簡単な曲ではない。
滑らかに鍵盤を弾く綺麗な指と、その真剣な横顔にあたしは思わず見惚れた。
「た、橘すごいねっ!ピアノ弾けるんだ…!」
「まあ、お前よりか弾ける。バスケする前ガキの頃ピアノやってたし」
一言多いが無視しよう。
「ピアノやってたんだ〜何か意外だな〜。あ、それであたしに自慢したくて音楽室連れてきたんでしょ?」
はっはーん。
橘の魂胆は見え見えなんだよっ!
おどけたようにそう言うと、橘は真剣な表情であたしを見据えた。

