いつものあたしならこんな男の腕なんて縛りあげることなんて簡単なのに

なぜか足が震えて動かない。



迫ってくる男たちを見て、黒いワゴン車の男たちに囲まれたことを思い出す。


『まだ近くにいるはずだ!探し出せっ」


荒々しい声、強い力で車体に押し付けられ掴まれた腕の感触が鮮明に蘇る。


嫌だ…怖い

二度目の恐怖に涙が浮かぶ。


ジリジリと距離を詰めてくる男に後ずさりしていると、木の幹に足をとられ後ろから転けてしまった。



「どうせあんたもナンパ待ちだったんじゃねぇの?いいじゃん、俺らの相手してよ」



「イヤっ来ないで…っ」



男が乱暴にあたしの腕を掴んだときだった。

黒い影が近づいて止まった。




「泣いてんだろ。その汚ねぇ手離せ」