大っ嫌いなアイツに恋をした。




「……えっ?笹原さん?何で悠月と一緒に……?」


あたしを見た屋代さんは顔色をがらりと変えた。


「コイツはただ迷子になってただけ」



橘はそれだけ言うと、あたしの手を掴んだ。


「コイツ送ってくから紗季はちょっと待ってて」


「や、ヤダよ!あたしを一人にするの?」


屋代さんは上目遣いをして橘の浴衣の裾をギュッと掴む。


これ以上、邪魔なんて出来ないよ……


あたしは橘の手をそっと払った。



「さっき若菜からメールきてたの。場所も書いてあったし、もう大丈夫だよ!」


明るい声を出して言うと橘は怪訝そうな顔をする。


「は?だから何。送ってくって言ってんだろ」


橘はもう一度あたしの手を掴もうとする。

だけどあたしはその手を払いのけた。



「だ、大丈夫だから!ごめんね、屋代さんと約束してたのに付き合わせちゃって…じゃあ行くね!」



無理やり笑ってみせるとあたしはその場を後にした。