伸ばした手も、人混みで離れていく。
このまま離れていくんだ…と思った瞬間
強い力があたしの腕を引き寄せた。
「何、勝手に離れてんの。チビはここに掴まっとけ」
橘は裾を掴むように促す。
あたしは橘の浴衣の裾を掴ませてもらうことに。
「離すんじゃねぇよ」
橘の背中は当たり前だけど大きくてたくましかった。
あたしを送っていった後、屋代さんと会うの?
屋代さんとお祭り一緒にまわるの?
かき氷の交換して、彼女のために射的でとってあげて……
橘はそうやってさっきみたいに笑うの?
他の誰かに…笑顔を見せるの?
そんなの………
「ヤダよ……」

