大っ嫌いなアイツに恋をした。




それはもう、一瞬のことで

みんなが呆気に取られている。



背中には冷たい感触。

見上げると橘があたしを見下ろしている。


そして、橘は倒れたあたしの耳元に顔を近づけた。


「女のお前が、本気で男の俺に勝てると思ったわけ?」



カーッと顔が赤くなる。

それは、こんなにも呆気なく負けた悔しさと顔が近い橘に不覚にもドキドキしてしまった自分が情けなく思ったからだ。



無表情にスッと立ち上がった橘は柔道場から出て行った。


そのうちチャイムがなり授業が終わった。


それでもあたしはその場から動けずに床に向かって拳を振り落とす。



……っ、あんなヤツに負けるなんて

あんなに呆気なく。

何もできなかったのが悔しくてたまらない。


でも、それが全てで。

男より強いなんて意気がってたのはあたしのほうだった。