「足立くんと賭けてたって…嘘なんでしょ?どうしてそんな」
「どうしてって無かったことにしろつったの、お前だろ」
とてつもなく低い声。
振り返った橘は切ない表情をして、あたしを拒絶するかのようだった。
「確かに、確かにそう言ったけど…それは橘がっ」
「俺が?俺が無理やりキスしたから?そりゃ、嫌いなヤツに二度もされたら泣くわな」
自嘲気味に笑う橘にあたしは拳をギュッと握りしめた。
「違うっ!違うの…泣いたのは…もう抑えきれなくて…素直になろうって思ったのに…橘が────」
言葉を遮るように橘はあたしの手を掴んで壁に身体を押し付ける。
ドンッ──という音がして気づくとあたしは橘と壁の間に挟まれていた。
「素直にって…どういうことだよ」
足立くんにも同じことをされたのに橘が目の前にいるのとでは全く違った。
情けないくらいドキドキして、前を向くのもやっとだ。

