「テメェっ、マジ許さねぇ」
今にも殴りかかりそうな橘を慌てて止めに入る。
「ちょっと橘っ!やめて!」
足立くんと橘を引き離すと橘は不貞腐れたようにそっぽを向いた。
「なぁ、悠月。カッコつけんのは自由だけどな本当に奪われても知らねぇよ」
フッと笑った足立くんは橘の肩を叩いて行ってしまった。
取り残されたあたしと橘。
居心地の悪い雰囲気に耐えられなくなったのか橘はあたしに背を向けその場を去ろうとする。
「待って、橘…」
慌てて引き止めると橘はあたしに背を向けたまま立ち止まる。
「どうして、嘘なんかついたりするの…」
強気に橘の背中を見て言ったつもりなのに、どこかその声は震えていた。
「嘘って何?」
そんな冷たい声がして、ああ、本当に橘の中では無かったことにしたんだと悟った。

