そんな視線に気づいたのか橘はあたしを見つめてきた。
や、やばっ見てたのバレた!?
恥ずかしくなってあたしは愛美の手を取った。
「ま、愛美っ、帰ろ!」
慌てて教室から出ると後ろから肩を掴まれた。
「おいっ、待てよ。何で逃げんの」
振り返らなくったってわかる。
なかなか口の開かないあたしに痺れを切らしたのか橘はあたしの肩を掴んで振り返らせた。
「俺、何かしたかよ」
何とも言えない瞳であたしを見つめる。
「な、何にもないよ」
俯きながら言うと、橘は言葉を続けた。
「お前、あんま男ナメんな。男に飛び蹴りするヤツとかお前ぐらいだから」
笑いながら言っているのだと思ったけど橘は真剣そうで少し驚いた。