知ってるも何も、あなたの方が有名すぎて知らないわけがない。
他校でも有名みたいだし、知らない人なんていないんじゃないかな。
「……橘、悠月、くん……でしょ」
「おう、あったりー。そっちこそ知ってたんだ。実は、陰で俺のこと片想いしてたとか?」
全力で無視すると、橘くんはハハッと笑った。
「アンタがそんなヤツでよかった〜。冗談で俺のこと好きだろっつーと、うんって言うヤツばっかでさ。面白くなかったわけ」
橘くんはまだ、ケラケラと笑っている。
「アンタ想像以上に面白いね」
こっちは少しも面白くないし、笑えない
。
っていうか、想像以上って何。
あたしはやっぱり橘 悠月 という人間が苦手である。
それからも、喋り続ける橘くんを無視してあたしは掃除を続けた。
後は、棚の上の埃を取って拭くだけ。
近くにあった机に椅子をのせてその上にのろうとすると、手首を掴まれた。

