「おっ、結構片付いてんじゃん」
入り口から資料室を眺めるようにして橘くんは言う。
そりゃ、あたしが一人で掃除したからね!
なんて、口には出せず心で叫んだ。
「じゃあ、悠月一緒に帰ろ?その子一人で掃除してもらったらいいじゃん」
橘くんで見えなかったが、後ろには可愛らしい華奢な女の子がいた。
さっきの男女の声はこの二人だったんだ。
その女の子は橘くんのブレザーの裾を小さく引っ張っている。
何、その可愛いの。
男子ってこういうのに弱いんだっけ。
あたしは到底真似できないけど…
橘くんは、その女の子に振り返り何か考えている様子。
何、考えてるフリしてんの。
さっさとあたしに掃除押し付けて帰ればいいでしょ。
「あたしは一人で掃除するからいい…」
「うん、じゃあ先帰っといて」

