大っ嫌いなアイツに恋をした。




「……またって、覚えてるの…?」



あの日のこと。

あの日の事件。


あたしが橘のことを好きになってしまったキッカケ。



「覚えてるも何も、ありえなすぎて忘れられるわけねぇじゃん」



少しイジワルそうな、いつもの笑顔が見えた。





その事件というのは
高校一年生の秋の頃だった────。



週末は必ず日直が別館の資料室を掃除する決まりがあった。


その日あたしは日直ではなかったのだけれど……


「小山が休みだから…次の笹原!掃除よろしくな。それともう一人は…橘!お前サボるなよ〜」


何も反論する暇もなくあたしは担任に掃除を任されてしまった。


昔から一度任された仕事をほったらかすことのできないあたしは仕方なく承諾。


また部活遅れるじゃん。


しかも、あの橘くんと一緒だなんて。


何だか気が重い。


みんなはいいな〜なんて言う。

だったら変わって欲しい。



教室から遠い別館まで行くと、思っていた通り橘くんはまだ来ていなかった。