一途な彼は俺様モンスター

「あとは、浅海ちゃんの記憶が戻るのを待つしかないわね…」

「あ…」


真由子さんは、開いていた本をそっと閉じた。




「浅海ちゃんの記憶が戻れば、全て解決するのにね」

「解決?」

「ええ。だって…もしかしたら、浅海ちゃんと同じ種族の仲間とか…もしかしたら、ご両親だってどこかにいるかもしれないじゃない?」




そっか。

お兄ちゃんから、記憶をすり替えられたんだから…


私の今の記憶はつくりもので、嘘なんだ。

今の記憶では、両親は幼い頃に亡くなってるけど…

本当はそうじゃないかもしれない。


でも、記憶を取り戻すには、お兄ちゃんを倒すしかないだったよね。





「まあ、焦らずゆっくりでいいんじゃないかな?ここには空翔も、楓雅もバネもいるから安全だしね♪」


ニコッと微笑む、真由子さん。


その笑顔につられて、私も微笑む。


なんかまだ知り合って全然間もないのに、すごく安心するな…


空翔さんのことも、まだよく知らないけど…

真由子さんが言うように、一緒にいれば安全だってことは、なんとなくだけどわかる…




「じゃ。早速だけど、浅海ちゃんの体をちょっと調べさせてもらうね」

「あ、はい!お願いします」