一途な彼は俺様モンスター

降りて来た場所はわが家の庭で、窓ガラスがあちこちに飛び散っている。




…!


何が起こったのか理解できない気持ちで、戸惑いながら庭中を見ていると、男が私にそっと近づいてきた…



昨日と同じで、その男はすごくイケメンだった…

湿った風が髪を揺らし、吸い込まれそうな灰色の瞳を見ていると、

こんな状況にも関わらず、見惚れてしまう自分がいた。





「俺はお前を助けに来た…」

「!」


さっきコウモリにも、同じことを言われたのに…

この人が言うと、今初めて聞いたみたいに聞こえる…





「私を…助けに……?」

「そうだ。お前が兄だと思ってたあの男は、兄ではない。モンスターなんだ。お前を操って、人間のフリをして生きてた」

「!…」


私を…操ってた!?


そんなの……嘘でしょ…


だって…



「あいつはお前の記憶を奪い、自分を兄として思い込ませて、お前の記憶をすり替えた…そしてお前からエナジーを奪い、自分の力として生きてた……そして、……お、おい!」



ドサッ




私は、その場に倒れ込んだ。

そこからは記憶にない。


ただ、なんとなく…体がふわっと宙に浮いているような感覚があった。


あの黒い羽の生えた男の人が…

私を抱えて飛んでいるのは、わかっていた…