「じゃあ…いつものように私の肩を舐めて、血を摂取してよ…ヴァンパイアは自分のパートナーの血を毎日求めてるんでしょ…?それだったらいいでしょ?」


ヴァンパイアの特殊な舌で私の肩を舐めれば、自然に私の血を摂取できる。これで、私の体に傷をつけないで空翔に血を分けることができる…




「…翼が折れた時点で、俺は半分ヴァンパイアじゃなくなってしまった…だからパートナーであるお前の血を欲しいとも思わないし、それに俺の舌も人間と変わらない構造に変化しちまってる…」

「そ、そんなっ…」


じゃあもう…空翔が私の血を体内に取り込むこと自体ないの…?





「そんなことって…」

「…もういいんだよ浅海。ヴァンパイアとしての力がなくなったって、俺であることに変わりはないんだ…」


空翔の言っていることはわかるけど、今はどうしても受け止められない…

自分の血を取り込めば、空翔はまた完全にヴァンパイアになれるからだ。





「だって…空翔言ってたじゃん………子供時…よく私を抱えて空を飛んでくれた時…言ってたでしょう?」


記憶が戻った私は、時間差で昔の記憶がところどころ戻っていた。今空翔と話していた途中でも、私の頭に子供の時の記憶が蘇る。





「ヴァンパイアとしていつも俺を見てくれって…ヴァンパイアとしての俺を好きでいて欲しいって…言ってたじゃない…」

「…」


空翔の私の手を掴む力がゆるみ、私から目をそらすと、ゆっくりとベットに戻り私に背を向けて腰をおろした。

私は空翔に近づきながら、今にも泣きそうな声を出す。







「ねえ…一度だけでいいの…」

「…」


唇は震える。





「一回だけでいい…そしたらもういいから…」

「…」


喉の奥が熱い。




「お願いだから…」

「…」


声を荒らげると、喉が痛い。だけど私は止まらない。