一途な彼は俺様モンスター

「…」


その光景を思い浮かべるだけで、胸がすごく痛んだ…そしてまた目が潤んだ。





「マサシおじいちゃん…私・・・」

「自分を攻めるな。やれることは全てやったんだ…空翔だってそう思っておるよ」

「でも…私…」


悲しくて悲しくて仕方が無い。

私となんか出会わなければ、空翔はこんなことにならなくて済んだはず…





「あいつの願いはな…紙神からお前さんを解放することじゃったはず。それが叶ったんだ…あいつも安心しておるよ」

「…」


涙を拭う私の肩を叩き、優しい声をかけてくれるマサシおじいちゃん。

不思議…今日初めて会ったのに、おじいちゃんのこと、なんだかすごく前から知っているみたい。





「落ち着いたら、空翔に会いに行ってやってくれよ。とにかく飯はちゃんと食うんじゃぞ」

「はい…」


マサシおじいちゃんはそう言って、私の部屋から出て行った。私はティッシュで涙と鼻水を拭いて、食べかけのうどんをまたすすった。

うどんを食べながらも、涙はまた流れてきて私は泣きながらうどんを全て食べきり、いちごもジュースも全部無くなった。



空翔の前で泣いちゃダメ…だからここでたくさん泣いておこう…


私のゴミ箱はティッシュの山になっている。そして最後の涙を拭いたティッシュをゴミ箱に投げ捨て、私はスッと立ち上がった。


そっと部屋のドアを開けて、部屋から出てドアを閉める。足音をあまり立てないように歩き、空翔のいる医療部屋の前まで行く…

この部屋の先に空翔がいる。傷ついた空翔が…いる…





私はふぅ…と深呼吸したあと、部屋のドアを叩いた。





コンコン








「…はい」


部屋の中から空翔の声がする。声を聞く限りは、いつもと変わらない…