一途な彼は俺様モンスター

「そうじゃよ」

「すごい!」


テーブルに置いてくれたお鍋の蓋を取ってみると、お鍋の中には温かくて野菜がたっぷり入ったうどんが入っていた。




「おじいちゃん料理上手なんだね」

「元々得意ではないが、歳をとるとなんでも一通りできるようになるもんじゃよ」

「ふふふ…」


おじいちゃんは「どっこいしょ」と言って私のベットに深く腰掛けた。





「冷める前に早く食べてしまいなさい…」

「はい…ありがとう…」


私は箸を持って「いただきます」と手を合わせ、うどんを食べ始めた。泣いていたし今日初めての食事とうこともあり、うどんは私のお腹にスッと入って来る…

優しい味が体全体に行き渡り、一瞬だけすごくほっこりとした気持になる。でも空翔のことを思うと、やっぱり心は沈んだ…





「…空翔はお前さんに任せた…あいつの側にいてやれ」


おじいちゃんは懐からタバコを出して言った。私はうどんを食べる手を止め、マサシおじいちゃんを見つめた。






「空翔にはお前さんが必要じゃ。これからもっとそうなるじゃろ…空翔は人間とほぼ同じ体になっていくからな」


枯れた声を出すおじいちゃんは、なんだか自分を責めているようにも見えた。きっと空翔を救ってあげられなかったから、悔やんでるんだと思う…

空翔のことを子供の時から知ってるんだら、当たり前だよね。マサシおじいちゃんからしてみれば、空翔と楓雅は自分の子供みたいなものだと思うし…

私は空翔の幼なじみだけど、途中で離れ離れになってるから…空翔たちとマサシおじいちゃんの付き合いの方が遥かに深い。

だからあえて私は何も言わなかった…





「それを食ったら、空翔に会いに行ってやってくれ。お前さんに会いたがってた」

「え…空翔と話したんですか?」


全然気がつかなかった。私の部屋から空翔のいる医療部屋は近いから、話し声がすれば聞こえてくるはずだけど…

ずっと泣いてたせいで、周りの音が聞こえてなかったのかな…






「さっき部屋を覗いたら、寝ながら窓の外をずっと見ておった…」