一途な彼は俺様モンスター

あの人……

やっぱり昨日のは、夢じゃなかったんだ…

でもどうして…?




「バネ」

「ハイっ!」


男の人がそう言うと、あの子供の背中から羽が生え、こっちに飛んできた。

そして…





私の首を掴んでいるお兄ちゃんの腕に、思いっきり噛み付く子供。



「く………」


お兄ちゃんの手がゆるみ、私は床に落ちた。




「浅海サマ、大丈夫!?」

「…………ぅん」


その子供が、私に駆け寄って来た。



この子よく見ると、男の子なんだ…

それに今、私のこと『浅海様』って言った?




「お前ら………ハァ、何者だ!?」


顔に大汗をかきながら、ドアに寄っかかるあの男の人に、大声でしゃべるお兄ちゃん。

男の子が噛み付いたお兄ちゃんの腕は、紫色に変色し出している。



もしかして、毒?






「バネ!浅海を連れて、部屋から出るんだ」

「ハイっ!」




すると、そのバネと呼ばれる男の子の黒い羽が、大きく伸びて私を包み込んだ。

そして、そのまま飛び上がり、私を部屋の外へ運んでくれた。




「こ、こんなことが出来るなんて……」


信じられない。



「驚きましたか?」

「え……」