一途な彼は俺様モンスター

マサシおじいちゃんのシワのある目元が、涙で濡れているのがわかった…

楓雅と真由子さんは肩を震わせて泣いている。バネちゃんはしくしく泣き、目が真っ赤になっていた…


私はたまらなくなりガバッと立ち上がり廊下へ出ると、自分の部屋へ行きベットに倒れ込んだ。

そして大声を出して泣いた…



泣くしか出来ない自分が悔しい…そんなことしか私は出来ないの…?

空翔にしてあげられることは、何もないの…?




日が暮れるまで、私は泣いた。ご飯も食べず、水分を取ることもなかった…

時々リビングにいるみんなが気になったけど、話し声や物音すらあまり聞こえてくることはなかった。いつもは賑やかな家なのに、こんな静かな1日は初めてだった。





カァ…カァ…


カラスが鳴く声が聞こえ、ベットにうつぶせになっている顔を上げると、窓からはオレンジ色の日が差し込んでいる。

部屋の壁にかけている時計を見ると、もう夕方の4時を過ぎていた…

ここに帰ってきたのは夜中の3時頃で、空翔のケガの手当が終わったのは朝の8時頃…それからずっと私はこの部屋で泣いてたんだ…

泣きすぎてなんだか目が重い…


ずっと寝ていた体をなんとか起こし、テーブルの上に置いている手鏡を手に取って、ゆっくりと自分の顔を見た。




信じられないくらい目が腫れている…こんなに腫れるまで泣いたのは今までなかった…喉もものすごく痛いし…



そういえば、みんなはご飯食べたのかな…

いつも食事のしたくしてたのは私なのに、今日は1日部屋に閉じこもってたから…

みんなきっとお腹空いてるよね…




コンコン



すると、部屋のドアをノックする音がする。私は手鏡をテーブルに置き、ドアに向かって「どうぞ…」と返事をした。





ガチャ…


ドアがそっと開くと、マサシおじいちゃんが顔を出した。




「マサシおじいちゃん…」

「…1日なんも食わんのは良くない…食事を持ってきた…」


そう言って、マサシおじいちゃんはトレーを持って部屋に入って来た。トレーの上には、一人前用の鍋と小皿に乗ったいちご、あとペットボトルのお茶が乗っていた。





「これ…おじいちゃんが作ったの?」