浅海の表情はすごくたくましくて、若干の恐怖やとまどいも見られたが…その顔は俺が初めて見る顔だった。
記憶を亡くしていたときの浅海とは違う…ガキの頃から知っている…お礼は本当に好きなった浅海だ。
「バネちゃんにあんたの服に仕込んである、私の血の入ったボトルを取ってきてもらったの…そして美毒花のエキスをそこに入れ、またあんたの懐に返した…」
ってことは…さっきバネが紙神に突っ込んできたのは、ボトルを奪う作戦だったのか…やっと理解できた。
「ちっ…」
「苦しいでしょう?美毒花は猛毒を持っていて、手で触れてそれが誤って体内に入ってしまったらアウト…人間でもモンスターでも死に至る。父親からそう教わったのよ…」
苦しそうにもがく紙神に、浅海は冷たい口調で言った。
「幸いにも…あんたの体内には私の血が残ってる…だからこの毒を飲み込んでも死ぬことはないでしょうね…だから…」
浅海…!?
ぐさっっっつつつ…………
浅海は地面に転がっていたナイフをつかむと、紙神の胸を思いっきり刺した…
浅海…お前…
「ハァハァ…」
浅海は手にぐっと力を入れて、ナイフを紙神の胸に押し込むように突き刺す。
「空翔じゃなく…この私があんたを殺す……」
「ぐっ…」
紙神の胸からは血が吹き出した。これは浅海の血なのか、紙神のものなのかわからないかったが…とにかく大量の血が流れ出ていた。
浅海…
お前にここまでの力があったなんて…正直思ってもいなかった。
人やモンスターに力を与え、傷や病を治し、死人さえも生かしてしまうお前の力…その能力だけはわかっていた…だけど…
お前にモンスターといえ、見た目は人間と変わらない容姿の生き物の命を奪う程の力と、そして精神力があったなんて…
お前はこんなに強い女だったのか…?それとも…
「ぐっ………うっ」
「早く死になさいっ!死ねっっっ!!!!!あんたが死んでくれないと、私は幸せにならない!私は空翔と…幸せになりたいのよ」
ナイフを紙神の胸に突き刺して浅海の手が震えて、目からはポロポロと涙がこぼれていた…
それを見たとき、浅海がここまでしてくれたのは俺のためだと思った…
「浅海…もういいよ」
「空翔…」
俺はなんとか立ち上がり、バネに体を預けながら紙神と浅海に近づいた。
そして浅海の手をそっと掴み、紙神の胸からナイフをゆっくりと抜く…紙神はまた大量の血を流し、地面に仰向けに倒れ込んだ。
俺が浅海の手からナイフを取ると、浅海は膝を地面について震えながら泣き始めた。俺は浅海の頭をぽんと撫で「ありがとう」とつぶやいた。
「バネ…浅海と一緒にいろ」
「え、でも…」
「いいから」
俺は胸を押さえながら紙神に近づくと、紙神は今にも死にそうな顔をしながら、夜空をぼーっと見ていた。
俺が紙神の腹の辺りにナイフを投げると、紙神の目だけが動きこっちを向いた。
「…早く止めを刺せ」
枯れた紙神の声。
「またお前の胸を刺したところで、お前は死なない…浅海の血が体内に残ってる限り…」
「ふ…死ぬ程痛いのに…死ねないなんて・・・こんなことなら血なんて飲み続けるんじゃなかった…」
ドカッッッ
俺は思いっきり紙神の顔を殴った。
記憶を亡くしていたときの浅海とは違う…ガキの頃から知っている…お礼は本当に好きなった浅海だ。
「バネちゃんにあんたの服に仕込んである、私の血の入ったボトルを取ってきてもらったの…そして美毒花のエキスをそこに入れ、またあんたの懐に返した…」
ってことは…さっきバネが紙神に突っ込んできたのは、ボトルを奪う作戦だったのか…やっと理解できた。
「ちっ…」
「苦しいでしょう?美毒花は猛毒を持っていて、手で触れてそれが誤って体内に入ってしまったらアウト…人間でもモンスターでも死に至る。父親からそう教わったのよ…」
苦しそうにもがく紙神に、浅海は冷たい口調で言った。
「幸いにも…あんたの体内には私の血が残ってる…だからこの毒を飲み込んでも死ぬことはないでしょうね…だから…」
浅海…!?
ぐさっっっつつつ…………
浅海は地面に転がっていたナイフをつかむと、紙神の胸を思いっきり刺した…
浅海…お前…
「ハァハァ…」
浅海は手にぐっと力を入れて、ナイフを紙神の胸に押し込むように突き刺す。
「空翔じゃなく…この私があんたを殺す……」
「ぐっ…」
紙神の胸からは血が吹き出した。これは浅海の血なのか、紙神のものなのかわからないかったが…とにかく大量の血が流れ出ていた。
浅海…
お前にここまでの力があったなんて…正直思ってもいなかった。
人やモンスターに力を与え、傷や病を治し、死人さえも生かしてしまうお前の力…その能力だけはわかっていた…だけど…
お前にモンスターといえ、見た目は人間と変わらない容姿の生き物の命を奪う程の力と、そして精神力があったなんて…
お前はこんなに強い女だったのか…?それとも…
「ぐっ………うっ」
「早く死になさいっ!死ねっっっ!!!!!あんたが死んでくれないと、私は幸せにならない!私は空翔と…幸せになりたいのよ」
ナイフを紙神の胸に突き刺して浅海の手が震えて、目からはポロポロと涙がこぼれていた…
それを見たとき、浅海がここまでしてくれたのは俺のためだと思った…
「浅海…もういいよ」
「空翔…」
俺はなんとか立ち上がり、バネに体を預けながら紙神と浅海に近づいた。
そして浅海の手をそっと掴み、紙神の胸からナイフをゆっくりと抜く…紙神はまた大量の血を流し、地面に仰向けに倒れ込んだ。
俺が浅海の手からナイフを取ると、浅海は膝を地面について震えながら泣き始めた。俺は浅海の頭をぽんと撫で「ありがとう」とつぶやいた。
「バネ…浅海と一緒にいろ」
「え、でも…」
「いいから」
俺は胸を押さえながら紙神に近づくと、紙神は今にも死にそうな顔をしながら、夜空をぼーっと見ていた。
俺が紙神の腹の辺りにナイフを投げると、紙神の目だけが動きこっちを向いた。
「…早く止めを刺せ」
枯れた紙神の声。
「またお前の胸を刺したところで、お前は死なない…浅海の血が体内に残ってる限り…」
「ふ…死ぬ程痛いのに…死ねないなんて・・・こんなことなら血なんて飲み続けるんじゃなかった…」
ドカッッッ
俺は思いっきり紙神の顔を殴った。



