一途な彼は俺様モンスター

「いくらお嬢さま学校に入れても、何不自由なく育ててくれても…私の人生に空翔がいてくれないと意味がないの。あなたじゃダメ…私は幸せにはならない」


浅海は続けた。





「ねえ紙神…小さい頃…あなたは私の兄として優しくしてくれた。今思い出すと、折り紙がすごく上手だったでしょ?それはあなたが紙のモンスターだからよ?あなたはそれでしかない…それでいいのよ。強くなる必要なんてない…そのままのあなたでいいの…」


浅海…もしかして紙神を説得しようとしてるのか…?





「こんなことおかしい…ねえ考え直してよ?お願い…」

「…黙れ」


紙神は魂が抜けたような声を出して、浅海を睨みつけた。




「黙れ!お前に何がわかるっ!一生折り紙をしながら生きる人生なんてまっぴらだ!!俺だって強くなりたい!ヴァンパイアのように強くなりたいっっ」


まるで駄々をこねる子供のように叫ぶ紙神は、壊れたように体を動かしてナイフを振り回していた。





「今すぐお前の記憶を消してやるっ!消して俺のものにしてやる!そのためには、そのヴァンパイアは邪魔なんだ!どけっ」

「きゃ!」


紙神は浅海を突き飛ばすと、ナイフを俺に向けて走ってきた。




ドンっ


「バネちゃん!」


するとバネが横から飛んできて、紙神にぶつかると…動きを止めるように紙神の脇腹辺りにしがみつく。

紙神に押されて地面に倒れ込んだ浅海は、バネを心配するように叫んだ。




バ、バネ…


体に多少の怪我を負ってはいるが、さっき飛ばされたバネは無事だったようだ。







「邪魔するな!」


ドスっ



バネを思いっきり叩き、地面に落とす紙神。そして俺に襲いかかってきた。






グサッっっっっ




「空翔!」

「空翔様!」



紙神に、さっきとは反対側の胸をナイフで刺された…正直痛かった。痛くて痛くてマジで死にそう…

でも、俺の口元はニヤリと笑っていた。






「な、なにがおかしい!?」


俺が笑っているのに気づき、紙神は実感の焦りを見せる。俺は力を振り絞って口を開く…





「チャンス…到来…」

「えっ…」







グサッっっっっっっっ





俺は片手に妖力をためて、紙神の胸に腕ごと突き刺した。