一途な彼は俺様モンスター

空翔side


「ハァハァ…」



何度も紙神に攻撃して、何度あいつは浅海の血で復活したんだろう…

繰り返しているうちに、俺の体力ばかり奪われる…毎回本気を出しすぎた…失敗だ。

なぜなら、たった今…この戦いでの紙神の狙いに気がついたからだ…



こいつは…はなから俺と戦う気なんてない……

最初から俺の体力を奪い、弱ったところで隙をついて倒すつもりだったんだ…

なんでもっと早く気がつかなかったんだろう…



俺は唇を噛み締めながら頭をフル回転させて、どうやったら紙神を倒せるのか考えていた。

焦れば焦るほど何も思い浮かばない…落ち着こうと思っても、全然落ち着くことなんてできない…



バサっバサっ




ん…?




その時、バネが全速力でこっちに飛んで来るのが見えた。





バネ…!?

なんで…





バネの目は俺ではなく、紙神に向いている。


あいつまさか…!?






「バネ!来るな!戻れ!!!」


今にも、紙神に突っ込んで行きそうなバネに向かって声をあげる。しかし、バネは俺を見向きもせずに羽を動かし続ける。




何やってんだあいつ…

なんで紙神に向かって行くんだ…?


あいつが俺の戦いに割って入るなんて…今まではなかった。

何を考えてる…?


バネのことは知り尽くしているはずなのに、今回はあいつがわからない…







バサっバサっ




「バ、バネっ」



紙神に思いっきり飛びかかると、バネは簡単に紙神の手ではじき飛ばされる。





「くっ…………」


飛ばされて草むらに倒れ込んでも、バネはすぐに起きあがりまた紙神に向かって飛びかかった。