一途な彼は俺様モンスター

「あのね・・・・」


耳元で作戦を言うと、バネちゃんは一瞬不思議そうな顔をした。



「…わかりました!」


けれどすぐに頷き、小さくて黒い羽を広げ、バサバサと宙に浮かぶ。




「バネちゃんごめんね…くれぐれも気をつけて…」

「大丈夫デス!」


決して安全とはいえない私の作戦を聞いて笑顔を見せるバネちゃんを、心から心配になる。

モンスターといえど、まだ子供のバネちゃんが…私の作戦をなんの抵抗もなく聞いてくれている…





「バネちゃん…ごめんね…」


私は飛び立とうとするバネちゃんの手を自分の方に引き寄せ、ギュッと抱きしめた。
小さなバネちゃんは、私の胸に埋もれるように包まれる。




「ボクは仲間を失いました…赤ん坊のときに、一人ぼっちになり…空翔様に助けてもらったんデス…」

「うん…」


そうだったね…

赤ちゃんのときに仲間とはぐれて、たまたま通りかかった空翔に助けてもらったんだよね…





「ボクの今の仲間は空翔と楓雅様と真由子様…そして、浅海様デス!」

「バネちゃん…」

「仲間の為なら全力を尽くします!」


バサっと羽を動かして宙に浮くと、バネちゃんは勢い良く飛び立った。






「バネちゃんっ」


自分が行かせたのに、気がつくと飛び立ったバネちゃんを引き止めていた。

けれどバネちゃんは振り返ることなく、紙神めがけて飛んでいく…




バネちゃん・・・・





両手を目の前で絡ませて、祈るようにバネちゃんの後ろ姿を見守る。





気をつけて…


本当に…




無事でいて……