一途な彼は俺様モンスター

「けれど大丈夫デス!空翔様ならきっと…あいつを倒せます!!」


涙目でそう叫んだバネちゃんの手をそっと握ると、気がついたら私の目から涙がこぼれていた。




そうだよね…

空翔ならやれる…










バリバリバリバリ…



ペラペラペラペラ…





黒い稲妻と数え切れない程の紙が、辺りを取り巻いていた…

この戦い…どちらが死なない限り…終わりはない。






ドゴーーーーーンっっっつ!!!!!



空翔の稲妻と、紙神の紙がぶつかる。よく見るとただの紙ではなく…その紙は熱をおびているように見えた。





「あの紙…燃えてるの…?」

「そのようデスね…紙神は紙だけではなく、火を操ることもできるようデス」

「やっぱり…」


私の一族の村を火事にさせたようなモンスターだから、火を操ることが出来ても不思議じゃない。





ジュ…



紙が体に触れると燃え始め、空翔は翼を広げて空に逃げる。空翔の稲妻を受けた紙神は、また私の血を飲んで復活。



それを数回繰り返し、時間だけが過ぎていく…


私の血を使って楽をしている紙神とは違い、空翔も少し疲れが出てきていた…


集中力を切らせれば、そこで終わる…ここにいる誰もがそれをわかっているため、一切の隙を見せることも許されない。


紙神は空翔の体力がなくなるのを待っている…はなから戦いなんてしていないんだ。

自分は私の血で回復しているだけで、最初から空翔が弱るまでこれを繰り返すつもりだったんだ…本当に汚いやつ…



もう…決めるしかない。

私が………空翔の力になるっ!








「バネちゃん…お願いがあるの……」

「ボクに…?」

「そう…」


私は覚悟を決め、バネちゃんの耳元で口を開いた。





「さっき…言ったでしょ?あとで頼みたいことがあるって…」

「ハイ!それが今なのですね!?」

「そう…」



空翔…待っててね…

救われてばかりいた私に、今出来ることがある…



私も一緒に…戦うから!

待ってて…