一途な彼は俺様モンスター

また目が覚めると…そこは山の麓の草むらで、辺りは真っ暗だった。

起き上がると、隣にはお兄ちゃんがいて、片足を立てて地面に座り込んでいた。





「お目覚めか…気分はどうだ?」

「…最悪よ」


私は体を起こして、お兄ちゃんの前に立ち上から見下ろした。

お兄ちゃんは、下から私を見つめている。





「全部思い出した…」

「それは良かった…で?感想は?」

「あんただったのね…私の人生をめちゃくにしたのは…」

「…」


私の声は怒りで震え始める。






「ここ…昔、私の一族が住んでた村があった場所だよね?」


草や花が生い茂って生えている、だだっ広い場所…

そこの中に、私とお兄ちゃんがいる。


ここは…私の生まれ育った場所。

今でも鮮明に覚えてる。





「あの日…突然、村が火事になった。私の一族は皆死んで…滅びたの…その中で、私だけが助かったわ…」


目から涙がこぼれた。


お父さんやお母さん…

そして、一族のことを思い出して…





「父と母の悲鳴が聞こえて…玄関に駆けつけたとき……階段にいた男…それが…」


キッとお兄ちゃんを睨みつける。











「あんただった………間違いなく…あんただった……」


目から涙が溢れる…





「あんたが…全部やったの?あの火事もっ!私の両親を殺したのもっっ」

「ああ、そうだよ」


あっさりと認めるお兄ちゃん。


いや、お兄ちゃんなんかじゃない…







「あんた…何者?」

「俺は紙神(しがみ)…日本に昔からいるモンスター…」


紙神?

聞いたことない…





「あんた神様なの?」

「まあな。紙のだが…」

「神様だったらなんで…なんであんなことっ…」

「お前に何がわかるっっっつ!」


急に大声を出す紙神。

声は山の方まで響き渡った…






「生まれた時から…弱い能力しか受け継がれなかったモンスターの気持ちが、お前にわかるのか?」